JS-2m製作記 その1

出戻った時に一度PSTのキットを作っていますが、10年たって技術・道具・資料も以前より良くなっているので、ここらへんでリベンジです。

1 使用キット
 
イタレリは近年のキットらしくディティールの再現に優れていますが全長が短く、一方のPSTは、この業界では有名な「ぬるい」キットですが、そこがまた赤軍戦車の雰囲気にぴったりというキットです。

このように悩ましい選択肢の中で、イイトコドリで納得のゆくJS−2を作りますが、もともと後期型であるJS−2mを作ろうと思っていたところ初期型のキットしか入手できなかったので、これを改造して作っていきます。

2 車体下部の製作

全長が正しいPST(グレーのパーツ)に、イタレリ(緑系のパーツ)からパーツを剥ぎ取って移植します。転輪の車軸は、どうせ見えなくなるので強度も考えPSTのままにしておきます。
ただし角断面なのは第1サスアームだけなので、他のアームは角を落として断面を丸にしてあります。

車体側面パーツの移植が終わったらところで車体下部を箱組みします。
「箱組み」といっても、ご存じのとおり東欧キットなので一筋縄ではいきません。どんなに丁寧にパーツを整形して接着しても、あちこちに隙間ができたり四角にならなかったりします。もちろんこのキットもそうです。(笑)

3 車体上部の切り離し

車体前部はプラ板を使って「ローマ人の鼻」と呼ばれる後期型のフロントノーズに改造するため、早く車体下部と接着してガリガリいじりたいですし、車体後部はエンジングリルにメッシュを貼ったりフックをつけたりと、別にしておいて細かい作業をしたいところです。

そこで、PSTのプラがとても柔らかくてナイフで楽に切ることができるので、上記の作業工程の矛盾を解消するため、思い切って車体上部を前後に分割することにしました。
車体前部は鋳造、後部は鋼板なので、車体中央部にある接合線に沿ってカットしました。
画像は、車体の歪みを防止するため、カット部にプラ板で補強をしてある状態で、ついでにフェンダーもとっぱらってあります。

なんとなく、わざわざ作業を増やして自分の首を絞めているような気も…(苦笑)

4 車体上下の接合

車体前部は装甲板の角度の変わり目に現物合わせてプラ板を張り、後期型のノーズを再現しました。
意外と簡単に作業ができました。 実車の生産作業もこんな感じで効率がいいんだろうな〜。

車体下部との接着では、東欧キットですからもちろんパーツは勘合せず、十分にすり合わせをしてあります。

その後、いつものようにタミヤのラッカーパテを「溶きパテで溶いた」ドロドロパテをブラシで叩きながら塗布して鋳造表現をしました。

5 車体後部の製作

@エンジン点検ハッチのふくらみは、スケールが小さいのにナゼかPSTより大きいフジミから持ってきました。

A 側面の吸気ダクトの枠はパルトのエッチング、内側の金網は、パルトは目が詰まりすぎていたので市販の金網を使用
また、金網の内側に見えるフレームも再現しました。
このあたりの作業がしやすいのは、車体前後をカットした恩恵ですね。

B 後部の排気ダクトのルーバーは、エッチングを組むのが難しいので、使い勝手の良いプラ板で自作

C その他、あとで追加するフックなどのモールドを削り取ってあります。

排気ルーバーは、車体と接着する前に裏側から塗装したので、ちょっとばっちくなってますね。

6 車体の接着

車体後部パーツは、光がもれないように裏側に黒く塗ったプラ板を貼って、いよいよ車体と接着です。

また、車体側面にはランナーから削いだ部品番号を貼って、鋳造番号を再現しました。
国産キットの見やすく大きなランナー番号よりも、小さくて判別しずらい東欧キットの番号のほうがこういう作業に向いてますね。

7 足回りの製作(転輪)
   
各メーカーの転輪を比べるとこんな感じ。
PSTの荒々しさにも惹かれます(笑)が、並べてみるとイタレリが良さそうです。

周囲を削ってリムを薄くして、センターキャップはPSTの上部転輪のキャップを流用しました。↓
(ボルトは本当は5つなのはナイショ)

   
8 足回りの製作(車軸)

今回は車体がPST、転輪がイタレリです。こういう流用の場合、たまには径がピッタリということもありますが、まあ、たいていは接合に調整が必要になります。

車軸が太く、転輪側の受けが小さいという状態なので、転輪の受けを削って拡幅するという方法もありますが、今回は車軸をカットし、転輪の受けに合う細いプラ棒に替えるという方法をとってみました。

9 砲塔の比較
   
砲塔を比べると、PSTは全体的に細身な印象です。 
私の持つJS−2のイメージは、頭でっかちでずんぐりとバランスの悪い感じなので、これに近いイタレリの砲塔を使います。 
   
ちなみにイタレリでは砲塔後部の製造番号も再現されています。ミニスケールもここまできたんですね。
10 砲塔の製作

せっかくついているモールドはすべて削り取ります。
こういう作業をするなら、なにもついていないPSTを使ったほうが楽かも。(笑)
後部の傾斜角度はPSTのほうが正しいようなので、後端下部を延長して角度を修正しました。

その他の流用パーツは
@ キューポラ…視察孔のあるフジミから
A 装てん手ハッチ…リムにパルトのエッチングを使用
B 砲耳と防盾…PSTから
           防盾は先細りになるよう削って修正
C 砲塔後部機銃…フジミ

また、砲塔中央部には、一度切り離してスリットを削り込んだベンチレーターカバーを再接着しました。

 
11 砲身の製作

上から順番に
@ PST
   マズルブレーキが大きすぎ。砲身太すぎ
A RODEN
   マズルブレーキの造作がぬるい
B ITARELI
   マズルブレーキの出来はいいが一番細い
C Fujimi
   いい感じだが1/76なので全体に小ぶり

…ということでAのローデンを採用。
開口部をナイフで整形し、0.4oプラ棒で周囲のリブを再現しました。

12 仮組み
 
砲塔は溶きパテで鋳造表現をして、後部には車体側面と同じように製造番号をつけました。
   
工作が終わったので、ちょっと仮組みをしてみました。
この塗装前の段階って、見てるとワクワクしますね。

ペーパーがけをして面を整えたあとより、下処理として棒ヤスリでガリガリやって表面が荒れた状態のほうが実車写真の雰囲気に似ていたような気がします。
丁寧な工作をする意味はないんでしょうかね?

次回は塗装と細かいパーツのちまちま工作と続きます。

 

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