KV-2 製作記 その1

1 使用キット

KV-2は1/76で昔からフジミのキットがあり、みなさんも何台も作って馴染み深いと思います。
1/72ではトランペッターとPSTからキットがリリースされていますが、こちらは「良キットに恵まれている」とはいえない状況です。

トラペのキットは一見よさそうですが、結構間違って再現されていることが多いという印象の会社ですし、PSTはおなじみのとろけるモールドのキットです。

今回はトラペのキットを基本にしながら、PSTで使えるパーツがあれば使っていくという方針でKV-2を作ります。

2 エンジンデッキの製作

トラペのエンジンデッキは、ボルトが小さく繊細すぎて、赤軍戦車らしい武骨さが再現されていません。
そこで、この部分はPSTから流用しました。(青いパーツがPSTです。)
また、エンジン部分のハッチはトラペのものを使っています。(中央のグレーのパーツ)

修正部分は…

@ 吸気口ネットは削り取って内部のルーバーを再現

A ボルトの位置を修正

B ハッチを削ってヤスリで開口

また、内部が見える機関室には仕切りのプラ板を入れてあります。

3 変速機の製作@

KV-2は機関室前方のグレーのハッチの下にエンジンがあり、今回くりぬいた後部の丸いハッチの下には変速機があります。
今回はジャンクパーツを使って変速機を自作しました。

数少ないモノクロ写真を見ながら作ったので色は適当です。

4 変速機の制作A

車体上部を接着すると車内はほとんど見えなくなるので、どんな風に収まっているのか画像を残しておきます。

5 車体の接合

変速機を入れたので、ここで車体上下を接着しますが、フェンダーを取り払ったことで、車体中央部にパーツの接着線が見えてしまいます。(赤い横線部分)
実車では車体側面は1枚の装甲板なので、パテを盛ってこの接合部分を平らにしました。

また、赤い矢印の部分には凹みが並んでいるので、これもプラ棒とパテを使って埋めました。
これは説明書にも特に記載がありませんが、KV-1と車体パーツが共通なので、KV-1S「エクラナミ」の装甲パーツ用のホゾなんでしょうかね。

せっかく入れた変速機が削りカスで粉まみれにならないように、ヤスリがけの前に開口部はマスキングしておきます。

6 足回りの製作

72スケールでは、パーツの強度の関係か、サスペンションが車体側面と一体パーツになっていることが多いように思います。

今回はクラッシュして履帯がはずれた状態を再現するため、サスペンションアームも見えてしまいます。
そこで、サスペンションを切り離して再接着するのではなく、車体側面との接合部の見える部分だけをナイフで削って、別パーツに見えるようにしました。

7 車体前部の製作

位置も形状もあやしい感じだったので、いったんモールドを落としてから

@ ホーンと前照灯基部をプラ材で埋めておく

A クラッペに穴がないので横方向に溝を彫る

B 機銃基部は下方向にずらして接着

ほかにはペリスコープを自作するため削り取ったり、運転手ハッチをくりぬきました。

また、車体前部の牽引ホールドは、接着用の窪みをプラ板で埋めてから、少し下側に位置をずらして接着しました。また、パーツはPSTのものを使いました。

8 砲塔の製作@

@ 回転式のペリスコープはいったんカットして基部の形状を整えました。

A 手すりは板状に再現されていたので、削り取って真鍮線の基部を開口
   また、ピストルポートも削って開口しました。

B 防盾のボルトはいったん削りとって、ボルト取り付け用の窪みを再現

C 照準孔はいったん低い段差をつけてから中央に小さな穴を開口

D ボルト用の窪みはこちら側は2ケ

また、砲塔上面のペリスコープはあとで作り直すため、この段階で削り取っておきました。

それにしても、平ら面で構成されているのにも関わらずパーツのヒケが結構多かったので、あちこちにパテを盛って面出しした跡が見えると思います。

9 砲塔の製作A

防盾は作業性を考え、内側のパーツを先に砲塔に組み込んでおいて、防盾側には真鍮線を打ち、あとで接続できるようにしました。

10 基本工作終了

いったんこの状態で塗装に入っていきます。
それにしても、こうやって赤軍戦車を作ってみると、独軍戦車のパーツの多さがわかります。
実車も独軍戦車は製作工程が複雑で効率が悪かったんでしょうね。

 

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