KV-2 製作記 その2

1 表面の加工

KV-2は大きな平面で構成されているので、ただ色を塗ってものっぺりしてしまい間が持ちません。

そこで、パテを使ってパーツの表面を荒らし「精度の低い圧延鋼板」の表面を再現します。

パテが硬化したら荒めの紙ヤスリで表面を撫でて整えます。
また、防盾の砲耳部分は鋳造なので、ヤスリはあまり使わずに圧延鋼板部分との差をつけました。

砲塔のほか、フェンダーがはずれて見えるようになった車体側面などにもパテを塗り付けて表面加工を施しました。

詳細は「How to〜」で手順を紹介します。

2 車体の塗装(第1段階)

下地としてMrカラー134 草色(旧軍戦車色)を筆でペタペタと塗りました。

3 車体の塗装(第2段階)

下地の色を1日しっかりと乾燥させて塗膜を作ってから、今度は303 チャコールグリーン(米軍迷彩色)をドライブラシしました。
PSTの箱絵のイメージがあったので、ロシアングリーン2ではなく、この色を使いました。
ラッカー特有の透けによって、下地の色が透けて(混じって)ビンの生の色よりも濃い感じになっています。

4 車体の塗装(第3段階)

さらにチャコールグリーンに62 つや消し白と、317 米海軍機グレーも混ぜ、明るくするだけなく色味を少し落ち着かせました。
最初からこの色だけを塗るのではなく、色を重ねることで、立体感も出て深みのある色あいになりました。

5 溶接跡の追加

@装甲板の断面

 KV戦車の実車画像を見ると、装甲板を切り出した断面がかなり粗削りです。
 そこで、マスキングテープを貼り、パテを盛ってナイフで刻み入れてこれを再現しました。

A溶接跡の再現

 溶接跡は細いので、プラ棒や伸ばしランナーで再現する方法もありますが、ヨレヨレした感じを出したかったので、エポパテを使って再現しました。
 エポパテは爪楊枝でなるべく細く盛りつけ、さらに水をつけたナイフでカットして細くしました。

少しおおげさな表現ですが、独軍戦車に比べてシンプルな面構成なので、間延び防止に効果的です。

6 細部の追加@ 砲塔

【防盾基部のボルト】
防盾基部の尖頭ボルトは、一段窪んだ中にあるので、まず1ミリ径のピンバイスで窪みを作り、中心には0.5ミリ径の穴を裏側まで貫通させておきます。
ボルトは、0.5ミリ径の六角プラ棒の先を削ってとがらせたものを、裏側から差し込み再現しました。

また、防盾上部のヒサシは、前半分だけ0.14ミリ厚プラ板でリセットし、前端の断面が薄くみえるようにしました。

【固定式ペリスコープ】
ペリスコープは先端部が「くの字」型になっていて形状が複雑なため、キットパーツの形をナイフで修正するよりも、プラ板を箱組みしてリセットしました。

【回転式ペリスコープ】
少し短く感じたので、0.5ミリプラ板で底上げしました。
また、縦長の穴は、ピンバイスで2つ穴を開け、それをナイフでつないで開口しました。

ちなみに、車体側面の搭乗用の取っ手は、当初0.5ミリ径の真鍮線で作りましたが、塗装をすると少し太くなるので、0.3ミリ径に交換して細くしました。

※現存する実車には、砲塔に3つの吊り下げフックがついていますが、戦時中の写真をみてもそれらを確認することができなかったので、これは整備のため現代になって追加されたものと考え再現しませんでした。

7 細部の追加A 車体前面

【車体前部】
@ ペリスコープは砲塔と同じものをまとめて自作
A ホーンと前照灯はトラペのキットパーツをナイフで整形して使用
   それぞれへの配線は伸ばしランナー
B 機銃基部にボルトを再現&防弾カバーに水抜き穴を追加
   機銃カバーはフジミのJS-2から流用
C 前部牽引シャックルはPSTのパーツを使用

【フェンダー】
 フェンダーは、キャンプの食事などで使う、使い捨てのアルミ皿を使いました。 100円ショップで4〜5枚入っていてお得ですし、厚みとコシがあるので薄い鉄板の再現に適しています。
 切り出して接着したあと、ピンセットでつまんで曲げましたが、実車の構造がわからないので、裏面側は再現していません。

また、三角形のフェンダーステーは0.14ミリ厚プラ板で作りましたが、小さいので手作業ではなかなか精度が出せず、14〜5ケ作って形の良いものを選んで採用しました。

8 細部の追加B 車体側面

【左側】
左フェンダー上の雑具箱は、現物合わせてプラ板を組み合わせて自作しました。
フタのヒンジはキットパーツからはぎとって移植しました。

【右側】
 車体の塗装は終わっていますが少し変化がほしかったので、この段階になってから真ん中の上部転輪の基部を切り取り、はずれた状態を再現することにしました。

9 細部の追加C 車体

【エンジンデッキ】

エンジンデッキの吸気ルーバー上には異物混入防止メッシュを追加しました。
資料によって形状が違うのですが、今回はメッシュが前下がりになったものを再現しました。

【車体後部】

尾灯は単なる出っ張りのような再現だったので、シャーマンの尾灯を流用して作り直したほか、異物混入防止メッシュを張り、整流板をプラ板で作りました。


今回はここまでで、足回りの工作と仕上げ塗装は3回目の製作記に続きます。

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