M4シャーマン(複合車体)製作記 その1

ここにきて海外各メーカーからぞくぞくとシャーマンがリリースされていて、いままでは大手術をしないと作れなかった各型式のシャーマンを作ることができます。
あれこれ資料を見て検討した結果、まだインジェクションではキット化されていないコンポジットハルと呼ばれる、車体前部が鋳造、後部が溶接の複合車体のM4を作ることにしました。やっぱり普通には作れないヒネクレ者ですね。

でも、素材の出来が結構よさそうなので、あまり面白みのない(つまり暴走のない)製作記になりそうです。

1 今回のお題

車体前部はハッチが小さくて縦型の初期型ではなく、斜めに開く大きなハッチの後期型のようなので、ドラゴンのM4A1(76)をチョイス。 後部はエクストラテックのM4初期型を使うことにしました。

エクストラテックは購入当時は充分な出来だと思っていましたが、その後に各社からキットがリリースされるとお蔵入りしてしまったので、在庫整理も兼ねて使用します。 う〜ん、贅沢。

2 車体上部の製作

今回の製作で唯一の改造となる(ハズ…)、車体の組み合わせです。

資料を見て鉛筆で分割ラインを書き、1ミリほど残した部分でカットします。 あとは現物合わせで接合面を調整して接着します。

ひとつの箱の中のパーツを組み立てても苦労するキットもあるというのに、2つの車体は幅や高さもぴったりで、驚くほど簡単に繋がりました。 

その後、丸みのある前部から角のある後部へスムーズにラインがつながるように、エポパテで形状を修正します。

最後にテープでマスキングしたあと、タミヤのラッカーパテを溶きパテでとかした「ドロドロベトベトパテ」を固い筆で叩きつけるように塗り、乾燥後に軽くペーパーをあてて鋳造肌を再現しました。

3 足まわりの製作

唯一にして最大の改造ポイントである車体上部が終わったので、あとは素組みでサクサクと組み立てます…と言いたいところでしたが、ボギー前後(C1,C6)の合いが悪く、側面に大きな段差ができてしまいます。

そこで、上部のスキッドや支持輪架もプラ材でリセットするので、これらをバッサリ切り飛ばし、ボギーの合わせ目をきれいに整形することにしました。

また、パーツの一体化が進んでいるため、組み上げてしまうと転輪のゴム部を塗り分けるのが難しそうだったので、転輪パーツ(C3)上部をカットして、あとハメができるようにしました。(赤線の部分)

「脱腸ボギー」と揶揄されたパーツですが、このパーツだけランナーに段差があり、金型改修の跡を見ることができます。おかでげちょっとバリが増えましたが、こういう対応は嬉しいですね。 

4 砲塔の製作

砲塔は車体にあわせてエクストラテックを使用。

@ 右側面
後付けの増加装甲ではなく、砲塔厚自体を厚くした後期型の砲塔にするため、プラ板を貼りました。

A 砲基部
横幅がちょっと足りなかったので、プラ板で調整

B 左側面
ピストルポートはドラゴンのファイアフライからエポパテで複製したものを使用 

シャーマンの砲塔も形状修正をし始めると永遠に終わらないので、あとは後部バスルの抜きテーパーを修正しただけで先に進みます。

5 車体の製作

車体後部では、誘導輪調整部(a25,26)が説明書では左右逆に指示されていたのを修正したほか、扉の取っ手を真鍮線でリセットしました。

今まではエアクリーナーなども自作しなければならなかったので、これくらいディティールが再現されていると楽ですねー。

6 足回りの塗装

車体下部は、奥まで筆が届かないので、ボギーを着ける前に塗装してしまいます。

ボギーの接着面にマスキングし、オリーブドラブにバフを混ぜて、ムラムラにドライブラシしていきます。

タミヤのウエザリングスティック(ライトアース)をパレットに取り、おふるの筆で少量づつこすりつけます。 部分的に調子を変えるため、パステルを混ぜたりもします。

ここでマスキングをはがし、ボギーの隙間から見える部分にアクリル溶剤で溶いたパステルで「こびりついた土」をつけます。

最後に、別に塗装しておいたボギーを接着します。
この部分の汚しは履帯をつけたあとに施します。

あとハメ加工した転輪はまだつけていません。

7 工作終了

砲塔も「ドロベトパテ」で鋳造表現をし、ハッチ開放のため車体内側を黒く塗装し、転輪をつけて、これでひとまず工作はおしまい。

ライトガードや車載工具などのディティールは、いつものように車体の塗装が終わったあとで追加していきます。

やっぱり、いじらないと早く出来るな〜。

 

製作記目次にもどる