TigerT(後期型)製作記 その1

FAMOの脇役として、いろいろな車両を検討して、ティーガーTの後期型を作ることにしました。
今回はツィメリットコーティングの作業を省略するため、ドラゴンのキットを使います。 35ではインジェクションの限界に挑戦するような素晴らしいキットをリリースしていますが、72では完成品と共通のパーツのせいか、「?」というパーツも多く、玉石混合のキットという印象です。

ドラゴンのキットを作るのは初めてですが、どんな感じになるのでしょうか。

1 今回のお題

今回入手したのは中期型です。
これを後期型に改造していきますが、虎Tはアハパンをはじめ、詳細な資料が揃いすぎているので、考証に縛られて手が止まってしまわないように注意が必要ですね。

改造にはプロフィキットのエンジンセット(レベル用)を用意しましたが、エンジンだけでなく隔壁や燃料タンクなども付属しています。

このメーカーからは戦闘室内部パーツもリリースされていて、虎Tの完全内部再現をすることができます。

2 砲塔の製作@

戦車の組み立ては足回りから始めるのが一般的ですが、今回は砲塔からです。
理由は、後期型の特徴である砲塔基部の防弾リングを自作する時、砲塔を定規にして現物合わせで作業をするためです。(ばきっ)

ドラゴンの虎Tは初期型も含め、砲塔側面の視察孔の位置がおかしいような気がしていたので、今回、手元の資料と比べてみると、やはり上によりすぎているようです。(右はレベルのパーツ)

ナイフでモールドをそぎ取り、不要になった筆の軸をコーティングの幅に削り、スタンプするようにコーティングを復元しました。
この手法で車体全体に施すのは大変ですが、この程度の面積であれば問題ありません。

3 砲塔の製作A

・ 砲塔の腰高感の軽減も兼ねて、側面パーツの高さを0.5ミリカットし、天板の横断面が見えるようにしました。
・ 後部脱出用ハッチは薄く削り基部はレベルから
・ 防盾は両端のバルジをプラ板で作りパテでコーティングを再現。照準口は後期用の1ケを開孔
・ 装填手ハッチはもっさりした形状なので切り取り、開口部はプラ板で段差を再現
・ 車長用キューポラの視察窓は金型の関係で下まで大きく穴が開いているので、プラ板で下半分を塞いで溶きパテで表面を荒らしておきます。
・ 砲身、後部雑具箱は、よりモールドが繊細なレベルから流用

う〜ん、のっけから、このキットを使う意味がなくなってしまうような大人げない作業になりました。(苦笑)  

4 車体の製作@

車体は…
・ エンジンパーツを組み込むため、機関室をパネルラインに沿ってカットし、断面を薄くみせるため0.5ミリプラ板を接着
・ 砲塔を定規にして、プラ板で防弾リングを製作

ハッチ類は開けた方が見栄えがしますが今回はパス。 車体上面のOVMは気になるところだけチョコチョコっと手をいれ、四隅のグレネード発射筒基部のモールドは消しておきます。

車体後面パーツは…
・ 車体との合いが悪かったのでプラ板で隙間を調整
・ マフラーカバーがつく部分にコーティングがないのを再現するため、プラ板でリセット
・ エンジン始動用アダプタや泥よけはいったん切り離し、ブロートーチ差込口の装甲カバーをレベルから移植
・ マフラーのボルト穴を開孔(位置は適当)

・ 裏側は排気管取り付け部のディティールを再現

5 車体の製作A

シェーバー用洗浄剤できれいにしたレジンパーツのうち、床面と隔壁を組み込みます。

実車の図面を見ても、キットのパーツの厚みなどによって全く同じように再現するのは無理なので、何度も仮組みをしながら、長さや幅を微調整して「それらしく」パーツを収めていきます。
今回はエンジン左右の隔壁の長さがキットにあわず大きな隙間ができたので、プラ板でリセットしました。

その後、内側は切ったり貼ったりを繰り返しているので、薄いプラ板を貼って見た目を整え、最後に機関室天板の受けを周囲に接着し、ボルト留め用の穴を開けます。 

ちょっと歪んでいる気もしますが、まあ良しとします。(←いいのか?)

 

6 車体の製作B

・ 車体前部
  牽引ホールドの形状を後期型に修正し、その内側には六角プラ棒でボルトを再現
  前端部は大きく隙間があいたので、プラ板で塞いでからエポパテでコーティングを復元

・ 車体側面
  サイドスカートがつく部分に、削りすぎないようにラインに沿って金属テープを貼ってからヤスリがけをしました。
その後溶きパテを叩いて装甲板の質感を出しました。

・ 車体後部
  プラ板やパテでコーティングがなくなった部分にエポパテでコーティングを復元し、車両側面同様、マフラー取り付け部のプラ板にも溶きパテを叩きました。

 
7 足回りの製作

・ 転輪は2列目が1枚なので、2枚に見えるように目立てヤスリで溝をつけました。

・ 誘導輪はスポークの間が埋まっているので、ナイフでカリカリとスポークの間を抜いてみましたが、裏面パーツを接着したら、あまり効果がなかったようです。(涙)
あとは0.5ミリ六角プラ棒でボルトを追加
さらにヤスリで外周をひと皮むいて、後期型の「限りなく600ミリ風」誘導輪にしてみました。

足回りはレベルの鋼製転輪を移植。
起動輪はエポパテで強引に取り付けましたが、転輪はキットの車軸の先端を少し短くしただけで、問題なく収まりました。
各パーツは塗装してから取り付けました。

一応、砲塔を乗せて形にして、次回へ

 

製作記目次にもどる