FAMO&TigerT ベースの製作

皆さんは模型を作るとき、どのようにイメージを形にしていきますか?
「作りたいシーンがあって、そのシチュエーションに合う車両を作る場合」と「作りたい車両があって、その車両に合う場面を作る場合」と、大きく2つのアプローチがあるように思います。

私の場合は、キットを購入した時点で「こんなディオラマにしたいなー」と、漠然と情景のイメージがある事が多いのですが、実際にキットを組み始めたところでそのイメージを煮詰めたり修正したりしています。

ベースの製作方法は毎度おなじみのやり方なので、今回は、このレイアウトにたどりつく過程を紹介したいと思います。
テキストが多いですが、お時間のある方はお付き合いください。

 ● 設 定 の 検 討
 
1 FAMOを買う
この時点では「やっぱり牽引かなー。でもありきたりだしなー。」と、情景のイメージはなし。
   
2 資料を用意
資料本を買ったり、過去の手持ちの資料を見たりしてイメージを固めていく。
   
3 クレーン車に決定
何かの資料で、森の中で虎Uかパンターの変速機交換をしている写真を見たことがあったので、現場でのクレーンによる整備のシーンに決定。
ベースの大きさを考えると、お相手はV〜W号くらいまでがベストだが、レジンのエンジンが手元にあった虎Tにする。
   
4 虎Tの型式決定
主役のFAMOのクレーンを作るだけでも大変なので、虎Tにも時間をかけていると完成しなくなってしまうので、本当はコーティングのない前期型にしたいところだが、過去に1度作っているので違う物を作りたくて、今回は後期型に決定
   
5 虎Tを買う
コーティングを省略するため、ドラゴンの後期型を買おうと思っていたところ、中期型が発売になる。マフラーカバーがエッチングなので、情景に使えそうなので、これを後期型に改造することに決定。
   
6 情景の設定
虎Tを後期型にしたので、舞台設定は大戦後期の西部戦線に決定。
とすると、虎Tがダークイエローの3色迷彩なので、情景全体の配色を考え、FAMOはジャーマングレーにすることにした。
 
 と、まあ、こんな感じでイメージを固めたあと、FAMOを作りはじめました。
 当初はクレーンも苦手なレジンを使わずプラ板での自作も考えましたが、今回のディオラマで扱うクレーン・コーティング・エンジンルームの3つは、それぞれ単独でも充分大変な作業なので、すべて既製品を使うことでディオラマ自体の完成を目指すことにしました。 
   
 ● レ イ ア ウ ト の 検 討

 で、次は、FAMOが形になってきたところで、ベース上の配置の調整をしていきます。

 虎Tは機関部を開けるためには、ゲペックカステンがじゃまなので、砲塔を横に向ける必要があります。
 これを再現すると、長砲身のとりまわしが難しく、狭いベースに大きな車両を2台載せるために、いろいろとレイアウトを考えてみました。

 よく「ミニスケールは大きなベースに沢山の車両を並べるのに適している」といわれますが、私は「ミニスケールこそ、なるべく小さなベースにして、小ささを強調する」のがいいと思っています。

 ベースの大きさを決めるときには、16センチ角の方眼紙の上に車両を置いて配置を考えます。16センチという大きさは、これ以上小さいと車両+ストラクチャー(木や建物など)+フィギュアのフルセットの要素を盛り込みながらレイアウトをするのが難しく、これ以上大きいとミニスケール最大の魅力である「小ささ」が薄れてしまうという、経験則から決めた基本の大きさです。

 この大きさを最大値として、知恵を絞ってこの大きさに収める(無理やりともいう)と、人間、条件が厳しいほうがアイディアが出るものですので、適切な配置が決めやすくなります。

  以下の画像は作業途中で改めて撮り直したものですが、実際は、仮組みした車両や、近い大きさの箱や他の車両を台紙にのせてレイアウトを検討しています。

  実際の配置
  たぶん、実際にエンジン交換をしようとしたら、こういう配置になるのではないかと思います。
  ただ、これだとディオラマのレイアウトとしては、あまり面白みのない配置になってしまいます。
  別案
  虎さんを手前に持ってきた構図
  両車ともフロントが見えますが、どっちが主役がわからなくなってしまう上、ベースからも大きくはみ出てしまいます。
  決定
  で、いろいろ検討して、こんな感じに。
  両車とも後ろからのショットでメカニカルな魅力を見ることができるようになりました。
  いつものように、こんなに接近する事はないのでしょうが、密度感のある配置になります。  
   
 ● 工 作

このように、キットを作る時点で車両の向きが決まっているので、見えない面の工作は手抜きです。
パンターを横向きに配置する時には、反対側面のOVMラックは取り付けませんし、W号を正面向きにする時は後部牽引ホールドはそのままです。
虎Uの砲塔予備履帯フックのように、たくさん自作して、出来のいい物をこちらの面に使い、向こう側には残りを使うという場合もあります。
塗装でも、迷彩やハゲチョロは、見えない面で練習してから見える側の作業をしたりしています。
見る方向限定のディオラマの場合、こういう部分で時間を効率よく使っています。

 

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