4号F2型製作記 その1

1 キットと資料

キットは2024年リリースの最も新しい4号戦車です。
細かい部分まで再現されていると評判のフライホークですが、私はこのメーカーのキットは初めてです。どんな感じでしょうかね。ドラゴンみたいに一見よさそう見えてトラップだらけ…とならない事を祈ります。

資料は画像のとおりです。独軍戦車だけあって資料には事欠きません。
独軍車両は日々研究が進んでいますので、新しい資料のほうが望ましいのですが、手元にあるアハパンは古い版ですが、やはり系統立って整理されている貴重な資料なので外せませんね。

というわけで、今回は「4号F2型 1942年4月生産車」として製作します。
4号戦車は、1942年3月にF型に長砲身を積んだF2型ができ、同年7月にはG型と改称されたので、生産されたのは短い期間です。また、各生産工場の月ごとの生産台数とかシャーシ番号などもわかっていますが、それらを全て確認して実在した1台を作るのは大変な作業です。

1942年5月には
@乗員ハッチ上の信号弾発射用の丸い小ハッチが廃止
A車体前面下側に増加装甲が追加
B車体側面に予備転輪ラックが追加
と、けっこうあちこち変わったので、まだF型の特徴が多く残っている4月生産車として作りたいと思います。

2 足回りの改造@

T-34やパンターなどのL字型のサスペンションアームは別パーツとなっている場合が多く、角度を変えて取り付けるなど、動きを出すことが比較的容易です。
しかし、複雑な構成の4号のサスペンションは、35では複数の部品を使った可動式もありますが、72では無可動の1パーツ構成が普通です。

4号のサスペンションは前後のアームが別々に動く2軸式ですが、4号をスキャンメルに載せたときに、足回りを傾斜路にフィットさせるためにこの機構を再現するのは大変です。
そこで、下部は一体型でシーソーのように動く形にすることにしました。

まずは基部とサスペンション部を切り離し、内側をくり抜いた基部を車体に接着しておきます。
(下部のサスペンション部は、あとの工程で改造していきます。)

フライホークのキットは初めて作りますが、ゴムっぽい柔らかいプラですね。ナイフをあてると無理なくカットできますが、ヤスリを使うときは削りすぎに注意が必要ですね。

3 足回りの改造A

@とCのサスは2本のアームがハの字型に狭まって伸びた状態にして、AとBは逆に水平に近く広がってサスが縮んだ状態を再現して、スキャンメルの傾斜路にフィットするように調整しました。

いったんパーツはバラバラのままで転輪などの塗分けをします。

4 内装の製作@

内装は、パンターのカットモデルでも使った、「安心と信頼の日本製」自作野郎さんの3Dプリント製インテリアキットを使いました。

自作野郎さんのHPはこちら(組立説明があります)

素材がガラスっぽい感触で割れやすいこのキットには、破損しやすいパーツは予備が入っています。
エンジン、変速機、砲塔台座、主砲基部などが2セットづつ入っているので、うまく使えはほとんどもう1両作ることが出来そうです。今後、多いに活用できそうですね。

5 内装の製作A 車体前側

追加工作したのは以下のとおり

@ 左右のブレーキから伸びるホース(放熱用?)

A 変速機周辺の配線、配管

B 車載機銃の替え銃身ケース(ドラゴンsdkfz251から)

C 運転席後ろの砲弾カバー

本当に追加するパーツが少なくて高品質な仕上がりになります。

6 内装の製作B 車体後部

@ エンジンまわりの配管を追加

A 側面の補器を追加

B 後部パネルは3Dパーツとキットが2重になっているので、1枚に見えるように3Dパーツの後端をカット

車内が赤いおなじみのプライマー色の内装は1943年の通達によって変更されたので、1942年製の今回の車両ではまだ車内の下半分はグレー(RAL7009)が指定色だった時期なので、エンジンルームも同色にしました。ちょっと色合いが新鮮ですね。
色はチャコールグレーに青や緑を少し混ぜてイメージに合うよう調色しました。

資料はこちらの本のカラーチャートを参考にしました。同じグレーでも、AKとかファレホはもっと緑がかっている感じですが、私は青っぽいイメージだったので。色には諸説ありますので、まあ、ひとつの参考として見てもらえればと思います。

7 車体の製作@

内装を車体に入れたら、左右のフェンダーを接着します。
フェンダーは後部が機関室に被るように出っ張っているので、先に取り付けてしまうと内装パーツが入らなくなるので注意が必要です。
自作野郎さんの説明ページにあるように赤線部分でパーツの一部をカットするだけでなく、黄色部分は上面を削って高さも調整しました。

また、エンジンデッキは中央のハッチもカットして開けた状態を再現することにしました。

8 車体の製作A

足回りの工作を進めるため、まずは車体の下半分を塗装しました。
@ 下地〜MrカラーbQ2 ダークアース
A タミヤのラッカーLP-77をドライブラシで上塗り
B タミヤのライトブラウンとMrカラーbS5 セールカラーを混ぜた色でさらにドライブラシ

タミヤラッカーは、スプレー缶はクレオスのラッカーとは混ぜることができませんが、瓶のほうは同じタミヤラッカーでも成分が違うのかクレオスと混ぜて使うことができます。
LP-77は最新の解釈でDAKの1942年以降の車両色としてリリースされたもので、まさに今回の車両にぴったりです。
調色する必要がないので使ってみました。つや消しが強くて少しガサガサした感じがしますが、いつも同じ塗料を使っていたので、メーカーが変わって違う色味になるのは新鮮ですね。好みの色です。

塗装が乾いたら、転輪をつける前に油彩で墨入れをしてしまいます。

9 車体の製作B

今回は砂漠なので転輪の奥が泥でびっしりと埋まっているという事はないので、車体側面の汚しもあっさりと進めます。
@ Mrウエザリングカラーのサンド色を凹部に塗る
A ウエザリングカラーが乾かないうちにファレホのピグメントを振りかける
B 余分なピグメントを落とす

施してみると、表面が少しつや消しでザラザラしたなあ…という程度の変化なのですが、何もしないよりは情報量が増えたような気がします。(気のせいかも)

10 転輪の接着

まず転輪をボギーに接着したものを作っておいてから、車体に転輪セットを接着しました。
接着剤をつけたら、スキャンメルの傾斜路に載せてグリグリやって接地面を調整し、接着剤が硬化するまで傾斜路に載せたままにしておきました。

上部転輪はフライホークのパーツはなぜかセンターがずれていて使えないのでドラゴンから流用しました。
直径もドラゴンのほうが小さいですが、図面で比べてみるとドラゴンのほうが正しいみたいです。

11 砲塔の製作

ハッチを開いてもほとんど見えないので、キットのままでもよかったのですが、気になる部分を少しだけ修正しました。

@ 砲の上下ハンドルと横のボックス間のステーを削除
A 砲のハンドルは2つも同じ大きさなので、下側の回転用ハンドルを小さく自作
B 照準器が短いようなのでプラ棒をはさんで約2.5ミリ延長
C 砲の上下ハンドルは0.8ミリほど後退させ、さらに0.4ミリほど短くカット
D 主砲装填口下側には薬莢受けバスケットをプラ板で追加
E 装填手側の手動旋回ギアにハンドルを追加

また、砲塔床面は床の他の部分と同じくグレーとし、上側はエルフェンヴァイン(RAL1001)としました。

12 車体前部の製作

運転手、無線手のハッチを開けると内部がけっこう見えるため、少し手を入れました。
自作野郎さんのホームページでは特に工作方法について言及はありませんが、車体前面の内側の機銃や視察孔も別パーツで用意されている(部品番号 23)ので使いました。

@ 視察孔の内側部分と、上部ののぞき穴のフタはプラ板で自作

A 機銃と運転席の潜望鏡は中央でカットして位置の微調整をしました。

B 側面視察孔の内側は、ドラゴンの4号から流用
   黄金期のドラゴンはこんなパーツまで用意されていたんですね。(接着してみえなくなる裏面にもモールドがあります)

これで車内は完成ですので、車体上部を接着してしまいます。

キット付属の金属砲身は前後のホゾが細く、砲の根元やマズルブレーキがグラグラしてしまうので、穴にパテを薄く塗って穴を細くしてから差し込んで接着しました。
また、砲塔正面の裏面はカットして平らにしておかないと、3Dの主砲パーツが収まらなくなるので注意が必要です。

車体を接着するともう中を見ることはできないので、ここで大きな画像を貼っておきます。

 

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