4号F2型製作記 その2

1 車体の塗装@

タミヤとクレオスのラッカーを混ぜていきますが、車体の下側ですでに問題ない事を確認済ですので、車体上面も同じように塗っていきます。

フライホークは細かいパーツが多いので、塗装で埋もれてしまうとか、筆があたって折れてしまうとかという事を考え、どこまで先にパーツをつけてから塗装をするか迷いました。

@ 下地〜MrカラーbQ2 ダークアース
A タミヤのラッカーLP-77ライトブラウンを上塗り
B タミヤのライトブラウンとMrカラーbS5 セールカラーを混ぜた色でさらにドライブラシ

最初から最後の色だけ塗れば済むんじゃないの?…という考えもあるかもしれませんが、やはりラッカーを重ね塗りして色が混じる(泣く)ことで色味が深まると思いますので、このような方法をとり続けています。

2 溶接跡の再現

セロテープをガイドにして、タミヤパテと接着剤を混ぜたものを使って溶接跡を再現しました。

このスケールで溶接跡を正確な縮尺で再現するのは難しいですが、ソ連軍はエポパテを使って太くて雑に仕上げ、ドイツ軍は今回のようにきれいな仕上がりになるようにして差別化を図っています。

溶接跡の製作方法はHow to〜

車体前側は、キットのプラ材の厚みや組み立て構成により、実車とは違う面構成となっていて、このまま組み上げるとないはずの位置に継ぎ目ができてしまいます。
そこで、先端部にプラ板を追加して、正しい断面の組み合わせになるように修正してから溶接跡をつけました。

3 パーツの追加@ 砲塔

ここからは「アハトゥンク・パンツァー」と首っ引きで、1942年4月生産車としての仕様を確認しながら再現していきます。

今回買ったキットには、本来は別売りのペリスコープセットがおまけでついていたので、もちろん利用させてもらいました。 キューポラからチラリと見えるだけですが、正面を向いたペリスコープのガラス面には内側に縦線を描きました。外側からもチラリと見えるので、情報量が増していい感じになりました。(自己満足)

@ 0.2ミリ径の銅線で輪っかを追加

A 開いた状態を再現(ステーは短くカットしました) 

B 吊り下げフックは一体成型だったので、先端部だけプラ板でリセット

C エッチングの直接照準器(失くした時のために予備も含めて2ケついています。親切)

D キューポラは周囲に排水用の穴を追加

E 雨どいは0.14ミリ厚プラ板でリセット
  すぐ上にある手すりは0.3ミリ径真鍮線を使うため、塗装前にタミヤパテでキットパーツ用の大きな穴を埋めて、0.3ミリの穴を開けなおしておきました。

4 パーツの追加A 車体前部

@ 牽引ホールドは側面の断面を薄く削りました

A 左右のフェンダーは跳ね上げた状態を再現するためキットパーツは使わず、0.14ミリ厚プラ板で作り直しました。

B 天板は自作野郎さんのハッチがない状態を再現したパーツを使いました。左右のブレーキ点検ハッチも開いた状態で一体成型だったので、作業途中での破損を防ぐため、先に切り離しました。
 そのうえで以下を追加しました。
   ・跳弾板(キットパーツでは一体で再現されています)
   ・フェンダー補強金具の基部(キットから流用)
   ・ハッチの基部金具(キットから流用)

C 吊り下げフックは砲塔と同じように先端をプラ板でリセット

D ボッシュライトに伸ばしランナーで配線を追加

5 パーツの追加B 車体後部

@ 0.2ミリ径銅線で手すりを追加(基部の左右の出っ張りは伸ばしランナー)

A 吸気部のフタは説明書で左右を間違っているので修正
  (車間表示灯用の切り欠きがあるのが左側)
  端をピンセットで歪ませて、4枚が別パーツであることを強調しました。

B 煙幕発生装置は車両の生産時期を考え台座だけ再現

C 補助エンジンのマフラーは固定バンドをプラ板でリセット

D 上下2枚の横板は断面を薄くし、縦板はプラ板でリセット

E 張力調整器の先端は小さな突起を追加、L字のパーツは薄くしました。

さらにこのあと、車体後部の牽引ワイヤー固定用のL字金具を0.2ミリ径銅線で追加し、車体側面には予備転輪ラックも追加しました。(このラックは最初からこの形に曲げられていたものです。何のキットのだったかなあ。)

6 パーツの追加C 車体前部

追加したパーツをリタッチの要領で塗装したあと、別に作っていたハッチなどの出っ張ったパーツを追加しました。

@ 作業途中での破損を防ぐため切り離してありましたが結局プラ板で作りなおしました。
  裏面の穴の形状修正をして閉鎖用レバーを追加しました。表面のカバーはキットパーツです。

A 前方ハッチ裏面の開閉機構は単なるモールドだったのでプラ板で立体的に作りなおしました。

B 消火器は台座の金具だけ再現しました。

C 固定ベルトは余ったエッチングのバックルを使いました。

D アクセントに水筒を2ケぶら下げました。 
 デカールはフライホークではなく前回作ったドラゴンのG型初期に入っていた余りを使いました。

E 側面ハッチにはキューポラ同様ペリスコープセットの透明パーツを追加しました。
  ハッチを開けると見える砲塔の断面も薄くしてあります。

F プラ板でラックを作りジェリ缶を載せました。
  側面に「wasser 20」と刻印されたFIRMA49の3Dパーツを使用し、白の識別帯を描きました。

G 昇降用金具をプラ板で自作し、開いた状態で再現

また、前フェンダーの裏面にヒンジ金具のリベットを追加しました。

  

7 パーツの追加D 車体後部

@ 機関部側面のフタを固定するレバーもプラ板で作りました。
  多少オーバースケールかもしれませんが、こういう小さなパーツを追加していくことで情報量が増えて完成度が上がると思います。

A バールの固定金具中央の取っ手はエッチング

B ハッチ、冷却ファンともに自作野郎さんのインテリアキットに含まれているパーツです。
  色は悩みましたが、車両の年代に合わせてプライマー色ではなく内装色にしてみました。

また、雑具箱下端の木製ガードは細かくリベットも再現されていますが、厚すぎるので薄くしました。リベットを犠牲にして薄くするほうをとりました。
 中にもいろいろ埋めてみました。フタは自作野郎さんのボーナスパーツです。あとはエッチングの南京錠を追加

8 仕上げ作業@ 墨入れ

(最近は仕上げ作業は簡単に書いてしまっていたので、ステップごとに少し丁寧に説明します。)

いつものように、油彩の黒と茶色の混色を極薄に溶いたもので墨入れをして、半日乾燥させたあと、溶剤をつけた筆で表面を撫でて不必要な部分は拭き取りました。

ここからの仕上げ作業によって、「ただの色を塗った模型」が大きく変貌することになります。
そのため、楽しくてついついやりすぎてしまうので「ほどほどにする」注意が必要ですね。

9 仕上げ作業A ラッカーでのチッピング

チャコールグレーでハゲチョロを描きました。いつもはジャーマングレーを使いますが、今回は車体色が明るいので、描いたハゲチョロ表現がきつくならないように、少し明るめのチャコールグレーを使いました。

手や靴、他の金属が触れて塗装がはげる位置をイメージしながら、極細の面相筆の先でチョンチョンと突くように点描しました。
集中力が必要な作業なので、1回1時間程度しか作業ができないため、車体全体に描くのに4回(4日間)かかりました。スポンジをチョンチョンとあてるという描き方もありますが、このスケールでは大雑把になってしまうので、やはり手書きで描くことになります。効率悪いですね。(笑)

今回は車体が明るい色だったので、HBのエンピツで車体のエッジを撫でて輪郭を際立たせました。
エンピツは簡単ですが、エンピツだけにして筆によるハゲチョロをやめてしまうと表現が単調になるように思います。やはり平行して両方の作業が必要ですね。

10 仕上げ作業B エナメルでの墨入れ

前段での油彩の墨入れの目的は、溝や凹部に黒い塗料を流し込んで、境界をはっきりさせることです。
それに対してこのエナメルでの墨入れをさらにあとで行う目的は、表面のサビ、汚れ、影などをうっすらと描くことです。
差し色というかアクセント、部分的な変化というところでしょうか。「墨入れ」ではないのかもしれないですね。
部分的に塗料を置いてから、塗料をつけていない筆の穂先で撫でて周囲に馴染ませました。
これでほんのり色味が変わったエリアが出来上がります。

油彩の墨入れ…溝に施して輪郭をはっきさせる。(黒にほんの少し茶色を追加)
エナメルの墨入れ…面に施して単調な面に変化や動きを加える。(ほぼ茶色のみ)

11 仕上げ作業B 砂の再現

色の濃いパネルの裏面は、黒で墨入れをしても効果がないので、ウエザリングカラーのサンドで墨入れをして、形状や輪郭をはっきりさせました。

この部分は地色が濃いのでハゲチョロはジャーマングレーで描き、そのうえに油彩の墨入れ、エナメル茶色での面のアクセントと重ねたうえにさらにウエザリングカラーを凹部に流しこみました。

仕上げ作業の4つ全ての作業がフルコンボされるとこんな感じに仕上がります。

12 仕上げ作業C 油汚れの再現

後部のマフラーは、排気だけでなくオイルの噴出などもあったと思われることから、アクセントとしてベタベタしたオイルを再現しました。

これは、いったんエナメルの黒で流れた跡を描いた上から、アクリルのスモークを重ねることで、ツヤのある粘度の高い汚れたオイルを表現しました。

13 完成

いったん完成です。 パステルによる砂埃の再現は、車体をベースに固定してから施します。
今回は履帯はつけません。

 

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