BM-13N カチューシャ 製作記 その1

作ろうと思って最初に気づいたのは、GMCはいろいろなキットがあるのに、スチュードベーカーが見つからないことです。
今回はカチューシャ製作記というよりも、「スチュードベーカー製作記」って感じです。

1 キットの選定

各国とも戦時中の大量生産を達成するため、複数社で同一規格の車両を作り、仕様が異なる兄弟車両が生まれました。
この米軍の2.5トンカーゴトラックも同様で、GMC社で作って米軍で使われたのがCCKW353、スチュードベーカー社で作ってレンドリースで赤軍に送ったのがUS6です。

US6はPSTでは新旧2種ありますが、手元には旧キットしかありませんでした。 でも、これって海外のサイトでも「間違って買わないように」と警告するほどのダメキットなんですよね。(泣)

そこで、他のキットを改造したほうが楽ではないかと思い、アカデミーのGMCを「スチュードベーカーっぽく」改造することにしました。
シャーシの画像は、上がアカデミー、下がPSTです。どちらが作業が楽か一目瞭然ですね。

2 車両の差異

GMCとスチュードベーカーの差は、ボンネット側面の換気スリットと前輪フェンダーの形ぐらいだろうと思っていましたが、じっくり図面を比べてみると、ドアの形状や前輪の位置など違う部分が多く、似て非なる車両であることがわかりました。

この時点で「軽い工作で終わる」という想定は崩れ、大改造が必要な感じになってきました。
切った貼ったの世界に突入決定です。
ま、いつものことですが。(笑)

どこまで再現し、どこを無視するか、手を入れる程度を考えながら作業を進めます。

3 ボンネット部の製作

各パーツの寸法は図面から採寸したりせず、互いの位置関係から目分量で決めました。

流用した運転席の床面、先端のラジエター、ボンネットのパーツを基準点にして、0.5oプラ板を箱組みして作りました。

・ 前端の横幅は車台(シャーシ)の幅に合わせて
・ フロントグリルの高さはラジエターに合わせて
・ 前後長はGMCのボンネットパーツに合わせて

4 新金型キットの入手

切った貼ったを始めてから、「minibox fan」のツカサさんからご好意で新金型のキットを頂戴することができました。(ありがとねー。)

新金型キットは、シャーシやインパネ、エンジンなどのパーツをGMCと共用して、キャビンだけを差し替えるというコンパチキットです。
また、キャビンはスライド金型で一体成型になっていて気合が入っています。

5 新旧キットの比較

せっかくですので旧キットのパーツも紹介します。

…特に言うべきことはありませんね。
パーツよりランナーのほうが精度が出ているような気もしますが…。(苦笑)

旧金型のキットは「レンジでチン」してから出荷しているという噂は事実のようです。(笑)
PSTは新キットが出たあとも、旧キットを欠番にせず併売しています。なんで?

6 室内の製作

長い前振りでしたが、やっと製作再開です。

ダッシュボードなどもGMCと形状が違うので資料を見ながらプラ板で自作しました。
自動車先進国であった米国車らしく、実用一点張りではなく、ちゃんとデザインがされているように見えます。

メーターは航空機のデカールを流用し、床は錆と泥で派手に汚してみました。
ちなみにハンドルやシフトレバーはフィギュアを入れたあとで追加します。

7 キャビンの製作(その1)

室内の塗装後ルーフを接着し、前輪フェンダーやルーフ上部の耐火板をプラ板で自作しました。
ドアはフィギュアを入れてから取り付けます。
写真を見ながら窓枠部やボンネットのカーブを修正して、スチュードベーカー風にしました。

シャーマンもそうですが、曲面で構成されている車体は、いくら削ったり盛ったりを繰り返しても、なかなか納得できる形になりません。今回もある程度のところで終わらせました。

PST新金型パーツと比べてみると、ちょっとフロントノーズが長かったようですが、せっかく作ったのでこのままアカデミーの改造で作業を進めます。

8 予定外の修正

車体前部は、ボンネットの幅に合わせて、前方に向かって先細りになっています。

アカデミーでもPSTでも、キットパーツのエンジンルーム側面は1枚のパネルです。 ところが実車写真などをよく見ると、フェンダーの下側が一段狭くなっているようです。

キャビンも接着した後でしたが、急きょナイフを入れて車体基本形状の修正をしました。
ただ、この段階までくると作業が大変なので、情景にした時に見える車体の左側だけ修正しました。

9 キャビンの製作(その2)

ドアは簡単な形状なので、車体のカーブに合わせて0.5oプラ板で自作しました。
下の画像でわかるように、フィギュアを乗せるため、本来ドア側の一部である窓枠は車体側に接着して、ドアの下半分だけを脱着できるようにしました。
窓枠の下に見えるのは、ドアを接着するための「のりしろ」です。

また、サイドステップはキャビン側ではなく、シャーシ側に接着しました。
滑り止めのリブは伸ばしランナーです。

シャーシに載せたらやっと雰囲気が出てきました。
フロントガラスの窓枠は、もう少し形状修正が必要ですね。

10 シャーシの製作

シャーシの違いも見なかった事にしようかと思ったのですが、やはり修正することにしました。

・前部では…
 板バネの位置をフレームの横から下へ移動し、板バネ前後の接続金具の形状を修正しました。 また、タイヤ位置を前に出すため、車軸を少し前側に変更しました。

・後部では…
 フレームはムクの角材で表現されているので、本来の「コの字」の断面を再現するため、0.5oプラ板で見える部分だけリセットしました。
華奢なフレームにすることで、ソフトスキンっぽさが出ると思います。

11 フィギュアの製作

いつものようにプライザーのパーツを寄せ集めて製作しました。

腕やヘッドは0.3o真鍮線で体とつながっていて、ぐりぐりと簡単にポーズの変更ができます。
車体に仮配置して、何度もポーズやパーツの合いを微調整してから、瞬間接着剤を流し込んでポーズを固定してから、エポパテで服のシワの造作をしました。

車両にセットすると顔と腕しか見えなくなるので、下半身は色を塗っただけでおしまいです。

12 車体の組み立て

キャビン後部に燃料タンクをつけ、リアタイヤ上にホイールハウスをつけました。
ホイールハウスは、アカデミーGMCキットのタイヤ幅に合わせて、タイヤの幅が狭いPST新キットのパーツに0.3oプラ板をかぶせて増幅してあります。

なんとなく全体のバランスがおかしいような気もしなくもないですが、まあ、映画に出てくるT−34改造の虎1みたいなモノだと思ってください。(笑)

   

ちょっとフィギュアも運転席に置いてみました。
次回はメインイベントのロケットランチャーです。

 

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