● ピグメントによる足回りの泥汚れ再現 

1 使用する道具

35スケールでは、パステルやピグメントを面全体に塗ってから、部分的にこすって余計な粉を落とすという工程をよく見ます。しかし、72スケールで同じことをやった場合、細かい部分が埋まって見えなくなってしまいます。
そこで、必要な部分だけに穂先の細い筆でチョンチョンと少しづつ加えるようにして汚れを再現していきます。

しかし、パステルやピグメントに筆を使うと、すぐに穂先が開いて使い物にならなくなってしまいます。
私は、100円ショップのネイル用の筆を使っています。

これは100円で8本入っていますが、数回は使うことができるスグレものです。

また、今回使ったファレホのピグメントは…
  73109 ナチュラルアンバー
  73114 ダークスレートグレイ

これをタミヤのアクリル溶剤で溶いて使います。
もちろんファレホには専用のピグメント定着剤があるのですが、タミヤの溶剤は安定して簡単に入手可能なので。

2 明るい色で全体を塗装

まず、車輪の基部にはマスキングをしておきます。

最初に車体側面全体に明るい色の泥を塗り付けます。
(ファレホのピグメント 73109 ナチュラルアンバーを使用)

アクリル溶剤で溶きながら上下方向に流れが残るようにしながら、均一にならないように注意して全面に塗布します。

3 暗い色で半分を塗装

工程2が乾燥後、下半分は濡れた土を表現するため暗色系のピグメントをさらに塗布します。

まず、ネイル用の筆で溶剤だけをポタポタと垂らしておきます。

次に、溶剤がしみ込んでしまわないように、素早くピグメントを振りかけます。
(73109 ナチュラルアンバーと、73114 ダークスレートグレイを1:1で混ぜたもの)
タバコの灰をポンポンと落とすように、穂先ですくったピグメントをある程度まとめて落とします。

※素早い作業が必要なので画像を撮影する時間がとれず、図形で再現しています。

4 定着

工程3が乾燥後、車体を横向きにしてトントンと軽く揺すると、余分なピグメントが落ちて、溶剤がしみ込んだ部分だけが残ります。
(塗るときには暗色になっていたピグメントも、溶剤が乾くと本来の粉の色に戻ります。)

※ 夏の情景など、乾燥した土を再現する場合は、ここで作業終了です。

5 スモーク上塗り

車体の下のほうには、タミヤアクリルのスモーク(クリアカラー)を塗って、水分を含んだウエットな泥を再現します。
スモークはピグメントにしみ込むので、塗布後に時間が経つと色も変わり、また、ツヤも消えてしまうので、乾燥後、様子をみてスモークを再塗装してツヤを出します。

※ 穂先を動かして塗っていくと、せっかく定着したピグメントが剥落してしまうので、上からポタポタとしみ込ませるように塗料を塗っていきます。

  

6 表面に追加

車体側面上下の色の中間色のピグメントを使い、工程3と同じようにアクリル溶剤を塗布してからピグメントをまぶして、上下の色の境界をぼかします。

その後車輪をつけると、車体側面はこのように見えます。

7 完成

ピグメントは触るととれてしまうので、車体の工作がすべて終わってから、転輪などの足回りに追加します。

転輪の表面は、全体に塗らずにムラになるようにピグメントを塗り、乾いたあと細いブラシで表面をこすって、凸部のピグメントを落とします。

起動輪の泥は作動油が染みだした状態を再現するため、最後にエナメルの黒をしみ込ませてみました。

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