スキャンメル タンクトランスポーター(前期型)製作記 その2

special thanks Mr. Ken-ichiro Ooyama, Mr.Mark Davies, Mr.Alvaro Rodriguez

1 トレーラー部のおさらい

製作記その1の冒頭で書いたとおり、スキャンメルTTのトレーラーには「前期型」と「後期型」があります。
35のサンダーモデルのキットでは、前期後期の両方がキット化されていますが、IBGのキットでは1943年後半に出た後期型だけしかキット化されていません。

今回は1942年のアフリカ戦線を作りますので、トレーラは前期型にする必要があります。

前期型は、その形状から「グースネック(ガチョウの首)」と呼ばれていますが、正確な3面図などはないので、いろいろな画像を参考に、いつもの「テキトー工作」で作っていきます。

2 前部の製作@

キットの後期型は、途中から角度が変わり前側が反っています。(上の比較図を参照)

しかし、前期型はその特徴である先端部を除けば、本体部は前から後ろまで一直線に同じ角度なので、前側の角度が変わる部分で切り離し、先端部を0.3ミリプラ板で自作しました。

グースネックの名前の元となっているトラクターとの接続部は、一直線の平面の上にトサカのように載っています。一見複雑に見えますが、形状を分解して考えると、意外とシンプルな形の組み合わせであることに気付きます。
直線の組み合わせなら、プラ板で再現するのもなんとかなりますよね。

3 前部の製作A

図面やクリアな画像がなかったので、ネット上にあった1/35の組立説明書を参考にして、0.3ミリ厚プラ板を使い、仮組みをしたり、何度もパーツを作り直したりして、位置や角度をみながら製作しました。ここがメインイベントなので、グースネックが出来ればトレーラーは8割方終わったようなものです。

4 中央部の製作

@ キットでは四角いムクの柱だったので、0.3ミリ厚プラ板でH型の梁を作って差し替えました。

A 桶をひっくり返したような形の金具は、引き上げ車体が左右にずれないようにするガイドですが、車体と一体成型されているので、いったん切り離して内側を削ってから再接着しました。

B 側面下側の三角形の補強板はエッチングが用意されていましたが、簡単な形状なので0.25ミリ厚プラ板で作りました。(下端の小さな受け金具も再現しました。)

C フレーム底面にもいくつか金具がつきますが、ゴツいプラで一体成型されています。
 位置がわかるようにするため、この時点では削り取らず、塗装後にカットして薄いプラ板で作り直します。

5 後部の製作

@ 前期型は側面の上下が薄いようなので、下部をカット

A 後端スロープとの接続部は、プラ板をはさんで狭く修正

B 底面にプラ板を貼って軽め穴を開口

C 真ん中の梁はいったん切り離してから奥に下げて再接着

D エッチングからプラ板にリセット

E ジャッキアップ用の金具を追加

F ボルトを2ケから3ケに追加

6 足回りの製作

【車輪】
トレーラーの車輪も、スペインのモデラーAlvaroさんから頂いたもので、通常のロードタイヤと、トレッド面が格子状になったデザートタイヤの2種類を混ぜて使ってみました。

【車軸】
他のパーツ同様けっこう形が違うのですが、あまり見えなくなるので大まかな修正に留めました。
@ 下側は軸受け、上側がタイヤロック用のハンドルなので修正
A キットのままでもいいのですが、左右で段ずれして成形されていたのでプラ棒にリセット
B Alvaroさんのタイヤは裏面の車軸受けの穴の径よりも、キットパーツのほうが太かったため、先端をカットして真鍮線で接続しました。

【スロープ】
@ 側面の金具はダルい一体成型になっていたので、削り落としてプラ板でリセット
A 先端部をカットして平らにしたほか、底面の補強板を追加
B 裏面に三角形の補強板を追加
   スロープ裏面にはいろいろ部品がつくのですが、今回は地面に設置して情景にするので見えなくなるので、追加工作はしませんでした。

6.5 塗装前の状態

ここまで作った状態で塗装に入ります。
せっかくですので、この段階で仮組みをした画像を残しておきます。これはこれで見栄えがして、塗装するのが惜しくなりますね。

これ以上パーツを接着すると塗装できなくなるので、これくらいの分割になっています。
ここから先は、塗装をしながら組み立て、さらにパーツを追加していく作業になります。
7 フィギュアの製作

運転席でウインチの操作をする兵士は、このタイミングで塗装をしてしまいます。
ラッカー塗装→油彩墨入れ→ラッカーつや消しまでの工程を終えてから車内に接着しました。

もちろん事前にある程度の勘合はしてありますが、各種操作レバーと両腕はフィギュアを車両に載せて位置を確定してから追加工作しました。

8 キャビンの製作@

・フィギュアを載せたあと、右側にサイドレバーを3本追加しました。
キットにはエッチングのパーツがついていますが、平板なのでプラ棒で自作しました。

・助手席下の道具箱にエッチングの南京錠をつけました。

また、塗装や工作のため邪魔になるため控えていた天井を支えるフレームをこの時点で追加しました。

9 キャビンの製作A

@ ピレン式消火器はFIRMA49の3Dプリント製品
  アクセントに真鍮の地色にしてみました。
A 地図は1/35の地図を縮小印刷して使用
B ヘルメットもFIRMA49の3Dプリント製品

C 助手席側にも消火器を追加(資料にこういうのがあった)
D 隔壁の補強板はエッチングを使わずにプラ板で自作

E ハンドルは0.4ミリ径プラ棒で自作
F オイルフィルターを追加

なお、前ドアは開けるのであとで追加します。

10 車体の下塗り

車体は黒で下塗りしました。

ミスターカラーは隠ぺい力が弱く、通常はそれを逆手にとって色の重ね塗りをすることでイメージに合う調色をしていましたが、下地が黒だと最後まで暗いトーンのままになってしまいます。
しかし、車体の内側、下側、凹部といった部分は筆が入りにくいので、塗り残しや光の透過を防ぐために、いったん黒で下塗りしました。

このあと、改めて車体色を段階的に塗っていくことにします。

※ ちょっと中途半端なところで今回の製作記は終了です。
  車内の工作が終わって、次回は車体全体の塗装からです。

 

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