スキャンメル タンクトランスポーター(前期型)製作記 その3

special thanks Mr. Ken-ichiro Ooyama, Mr.Mark Davies, Mr.Alvaro Rodriguez

1 車体の塗装

筆の入らない部分に塗り残しがあると素材の色が見えてしまうので、いったん下地を黒で塗りました。

この上から改めて車体色を塗っていきますが、ラッカー塗料は隠ぺい力が弱いため、下地の色によって完成したときの色味が変わります。
いつも作っている欧州戦線の車両の場合は、どの色を混ぜると自分好みの色になるか、経験的に積み重ねてきた調色レシピがあります。
今回はアフリカの英軍ということで、自分でもなかなかイメージが湧きませんが、緑系塗料(カーキ)の層を間にはさむことで、いつもと違う色味の仕上がりを目指します。

【第1段階】 ミスターカラー22 ダークアース
【第2段階】 ミスターカラー55 カーキ
【第3段階】 ミスターカラー21 ミドルストーン
【第4段階】 ミスターカラー45 セイルカラー

2 エンジンの製作

エンジンは、配管の一部が車体と接続されるので、まずエンジン本体の塗装をしてシャーシフレームに接着してから、配管などのディティールを追加しました。
プラグコードは0.2ミリ径の銅線で、あとはいろいろな径のプラ棒の組み合わせです。
多少アバウトですが、ごちゃごちゃした雰囲気は出せたと思います。

また、ラジエター側にもラジエター液のオーバーフロー用の配管を追加するなど、少しモールドを追加しました。

3 トラクターのパーツ追加@

【車体前部】
@ 前照灯の箱型基部(ライトはもっとあとで追加します)
A L字型レバーを追加
B フックはキットパーツの上半分を作り直して使用
C クランクハンドルガイドを追加
D ワイヤーガイドを追加

【車体中央部】
@ 0.2ミリ径銅線を、0.3ミリ径真鍮線に巻き付けて製作
A ブレーキ用エアタンクは中央でカットして1ミリ厚プラ板をはさんで長さを延長し、配管を追加

【車体後部】
トレーラーとの接続基部にもボルトやリベットを追加したほか、後端の牽引フックなどもプラ板でリセットしました。
車体中央部のバネは、巻きを緩やかにして隙間ができるようにして作りましたが、酸素タンク上部の動力ケーブルの蛇腹は銅線を0.2ミリ径に隙間なく巻きつけて作ることで、同じ材料を使いながら作り分けました。

4 トラクターのパーツ追加A

@ 取外しできる側面パネルの固定金具を再現
A 上部には補強用ロッドを再現

B エアフィルターは鋳造型とプレス型がありますが、記録写真を見ると、アフリカでは鋳造型が標準のように見えます。 キットパーツは車幅が狭いのに合わせて小さく再現されているので、正しい大きさで再現されているAlvaroさん謹製のパーツを使いました。
C ボンネットの拡大画像を見てリベットを追加
D 前後にあるリブも再現
 ※ ボンネットは0.6ミリほど延長しました。
   キャビンを切り刻んで修正したため前後長が変わってしまった帳尻合わせです。(笑)

また、車体中央部のウインチにはカバーを追加したほか、下部はキャビンとの接続部品を再現しました。

5 トラクターのパーツ追加B

・前輪のフェンダーはリブがダルかったので0.3ミリ角棒でリセットしました。
 もちろん全体をウスウス攻撃してあります。また、支柱だけでは大きな本体を支えられないので、見えないタイヤ上部でも接着して全体で強度を出しています。

・窓枠は拡幅した車体幅に合わせて0.5ミリ角棒で自作しました。
 内側には完成後にチラリと見えるエンジンのスターター(?)を再現しました。

・キャビン後部の幌は折り紙を良く揉んで柔らかくしたものに溶きパテ上塗りして再現
 側面のキャンバスも同様に作りました。

・キャビン左の燃料タンクはタンク本体をキャビン底面に接着し、前後のステーもリセットしました。

6 リベットの追加

屋根のリベットはアーチャー社製のリベットで再現しました。
これは水転写デカールシートにレジン製のリベットが貼りついているもので、水で台紙から浮かせて貼り付けて使います。

表現として少し大げさかとも思ったのですが、車体側面には最初からリベットがそれなりの大きさで再現されているので、それに合わせて屋根もリベットを打つことにしました。
マスキングテープに2ミリ間隔の印をつけ、これをガイドにしてキットの表面でリベットを1つづつ切り離して使いました。

7 トレーラーのパーツ追加@ 上面

トラクター部ほどには追加パーツは多くないので、作業量としては少なめかと思っていましたが、やはりIBGトラップ発動でした。足りないパーツや位置が違う物などいろいろありました。

@滑車はキットにはパーツがないので自作(あとでケーブルと接続します)

Aケーブル固定用のピンも再現

Bタイヤ、2ガロン缶〜Alvaroさんの3Dパーツ

C連合軍ジェリ缶、ロールキャンバス〜Value Gearのレジンパーツ

Dジェリ缶、英軍ヘルメット〜チェコのFIRMA49の3Dパーツ

Eバケツ〜自作野郎さんのマイバッハエンジンのおまけ3Dパーツ

布の一部は車体に収まりがいいようにエポパテで追加しました。

7.5 容器の表記

資料が少なくやや不正確ですが、英軍の車両を作るので、英軍らしいアイコンとなる物を用意してみました。文字はデカールの一部を切り取って流用しました。

左…ドイツ軍のコピーの水用ジェリ缶
中…2ガロン燃料缶は、35のアクセサリーで見た物のまねをしてみました。
右…水、オイル、燃料でそれぞれ背面に「W」「O」「P」の文字を入れていたようなので、Pを入れました。 (フタは真鍮製なので金色に塗るのが正しいみたいです。)

8 トレーラーのパーツ追加A 下面

@道具箱は天板を追加して、側面を開けた状態を再現
  道具箱は車体幅と同じようなので、左右に1.5ミリづつプラ板をはさんで増幅しました。

Aジャッキ台のラックは0.14ミリ厚プラ板で製作
B前期型では油圧ジャッキは車体後部のものを側面に移して使用したようなので、基部だけ再現
Cスロープの延長板は自作し、ラックの位置を前方に変更

D延長板の三角形の台座もキットパーツには含まれていないので自作
 (こういう物こそエッチングで用意すべき)

※前期型と後期型では下面パーツの配置が異なるようです。キットでは後期型を再現しているので、記録写真をみながら配置を修正しました。(画像は比較のため反転させています)

9 トレーラーのパーツ追加B 後面

@油圧ジャッキや索引フックなど、後面の細かいパーツを追加しました。

Aマッドガードを再現
 素材が何か迷いましたが、ゴムという事にして塗装を進めました。
 指で曲げてうねりを付けて、柔らかい感じを出しました。

Bトレーラーの天板表面は、こげ茶に少し銀を混ぜた色でドライブラシをして、金属製の履帯が擦れた塗装の剥げを再現しました。

10 ウエザリング

追加パーツのリタッチのあとはウエザリングの前にデカールを貼ってしまいます。
なお、車体の上面は紫外線による塗装の退色を表現するため、明るいグレーでドライブラシをしました。
ウエザリングはいつもと同じ以下の手順で仕上げました。

@ 油彩で墨入れをしてメリハリをつける
  
A クレオスラッカーのチャコールグレーでハゲチョロを描きました。
   ソフトスキンなのでダメージは大げさにならないように気を付けました。
 ※いつもだと、このあとタミヤのエナメルの黒と茶で雨だれや錆などを盛大に描いていきますが、今回は砂漠地帯で使われている車両を意識して、ほとんど使用しませんでした。  
  

11 タイヤのウエザリング

砂漠なので次のステップで塗装をしました。

@ クレオスMrカラー137 タイヤブラックで全体を塗装

A クレオス ウエザリングカラー サンディウオッシュを内側に塗布
  (塗料は撹拌せず、瓶の底から顔料を多めにすくって濃度の濃い状態で使用)

B 筆で放射状に塗料を塗広げる

C 綿棒で凸部やトレッド面を撫でて、塗料を落としてタイヤブラックを出す

12 いったん完成

   前輪フェンダー上の車幅ポールやドア、バックミラーなどは、触るとすぐに壊れてしまうので、車両をベースに固定してから追加します。
   そのため、ちょっと中途半端な状態ですが、車両単体としてはこれでいったん作業終了です。
   トレーラーは、実車の記録写真でも見かける、前後で異なるパターンのタイヤを使ってアクセントにしてみました。

 

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