● 油彩による墨入れ表現 

1 使用する塗料

油彩の溶剤には、鉱物性のペトロールと、植物性のターペンタインがあります。(私には「テレピン油」と言うほうが馴染みがあります。)

雑誌などによると、プラを侵しにくいテレピン油を使うのが一般的のようです。
油彩はいつまでも乾かずに次の作業ができないので、今回はこれに加えて、乾燥を早める「シッカチーフ」も併用してみます。

2 塗料の調合

使う絵の具は、チャコールグレイ(黒系)とバーントシェンナ(茶系)の2色です。

今回のキモは「透明メディウム」です。

左の絵の具をテレピン油で溶くと、サラサラの液体になり、凹部に流し込むように墨入れができます。 しかし、油彩特有のテカリが出てしまいます。
そこに透明メディウムを加えると、乾くとつや消しになるので、AFVの表面に使っても違和感があるつやに悩まされることがなくなります。

ただし、メディウムを混ぜると粘性が高まるので、流し込む作業に支障が出ない程度の量を混ぜて使うように注意します。

3 塗料の調合

牛乳などの紙パックは、内側がコーティングされているので使い捨てのパレットとして重宝しています。

絵の具とメディウム、シッカチーフをまぜ、テレピン油で流しやすい粘度に整えて墨入れします。
シッカチーフのせいか、メディウムのせいか判りませんが、15〜20分も作業をしていると混ぜた絵の具の粘り気が強くなってくるので、普段使っているラッカー塗料と同じように、テレピン油を追加してサラサラな状態をキープしながら流し込んでいきます。

4 墨入れ作業

全体に塗ってから拭き取るのではなく、必要な凹部に入るように丁寧に流し込みます。

油彩の溶剤はプラを痛めるため、細かいパーツの接着面などを浸食し、パーツがとれてしまうことがあるとのことです。
そこで、油彩で墨入れすることを前提に、事前にパーツの接合部分なども塗り残しがないように隅々までちゃんと塗って塗膜で保護したり、流し込み接着剤でしっかり固定するなどして、プラに隙間ができないようにしておきました。

5 線の調整

1日置いて塗料が乾いたところで、テレピン油をつけた筆で表面を撫でます。
これにより、余分な絵の具が拭き取られて凹部のみに残り、線がシャープで繊細なものになります。

墨入れをした時にこの作業をしてしまうと、残したい絵の具も一緒に拭き取ってしまったり、不必要な面にまで絵の具を伸ばして広げてしまったりするので、1日置いてから作業します。

油彩は乾きが遅いのでブレンドする作業には重宝しますが、このような作業をする場合には、いつまでも乾かないと拭き取りができないので、シッカチーフを混ぜて乾燥を早めています。

6 墨入れ終了

エナメル塗料による墨入れよりも、黒い線が力強く、パネルの接合部などが別パーツであることを強調するのに効果的です。
ただし、全てを同じ調子で使ってしまうと、線が際立ちすぎてマンガチックになってしまいます。

「線の作業」では油彩を使いましたが、このあとの「面の作業」では慣れてコントロールしやすいエナメル塗料を使います。

エナメル塗料での雨垂れ表現は、「How to〜」の別項目をご覧ください。

               

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