L70(A) ベースの製作

1 ベース構成の考察

情景を作るときには、いつも複数のレイアウトを検討します。
ストックしているフィギュアなどの小道具を仮配置して、全体のバランスやストーリーを検討しました。
今回は4パターンの中から、最終的には全部が止まっている情景としました。

【案1】 L70と兵士が動いていて、シュビムは止まっている情景 【案2】 L70が止まっていて、シュビムと兵士が動いている情景 
   
【案3】 L70が動いていて、兵士とシュビムは止まっている情景 【案4】 採用案〜全部止まっている情景
2 地面の製作

いつものように100円ショップの軽量紙ねんどをスタイロフォームの上に盛り付けていきます。
一般的に木製のベースの上に水分を含んだ粘土を乗せると、乾いていく段階で土台が水を吸って反り返るなどの歪みがおきてしまいます。
しかし、スタイロフォームは多孔質でうまく水分が外に逃げてくれるので、粘土もスタイロフォームも歪むことなく乾燥、密着してくれます。

まずは指でグイグイと押しながら厚さが5ミリくらいになるように広げていきます。

端の部分はあとでカッターで切り取ると断面がきれいになるので、この段階ではオーバーハングになるくらい外側に余分に盛っておきます。
この段階でスタイロフォームの側面とツライチにしてしまうと、あとで断面に隙間が出きてしまうことがあります。

全体に粘土を広げたら、轍をつけていきます。
履帯のあとは古くて使わないポリのベルト履帯を押し付けてスタンプします。
タイヤの跡は、タイヤに真鍮線を通した自作の道具を使って、タイヤを地面に転がして跡をつけます。

3 ベースの切り出し

ベースよりも大きめに盛った粘土をカッターでベースと同じ大きさまでカットしました。

端がボソボソになった部分は、横板を貼ったあとで、隙間に粘土を詰めて補修します。

※あとの工程で左上のエリアに水たまりを作っていきますが、この段階で構成が出来上がっているので、左上のエリアの轍は深く作ってあります。

4 車両のフィッティング

次に車両を配置してから、履帯に合わせてベースにナイフを入れます。

車両の両サイドの外側にナイフを入れたら、車両を取り外して、内側にもナイフを入れて、履帯の下の地面部分を削り取ります。

車両を再セットして、前後の隙間に粘土を詰めます。
今回は泥道なのでかなり埋め込みました。

5 ベース側面の製作

30センチ角で300円くらいの黒いアクリル板(0.5ミリ厚)をカットしてベースの側面(断面)を作っていきます。

ベースの側面に押し当てて、地形の凸凹をなぞってケガいていきます。
これで断面のカーブをアクリル板に写し取っていきます。

ケガいた線をカッターでなぞって切れ目を入れたら、パキっと勢いをつけて折ります。

4面ともベースには木工用ボンドで貼り付けます。

6 草の製作

100円ショップで3ケで100円の荷造り用の麻ヒモを1センチくらいにカットして、穴を開けたベースに植えました。
草の植え方の詳細はホームページのこちらで。

http://hinemogura.at-ninja.jp/kusa.html

今回は春近い冬の季節ということで、あまり草は生やしません。
これを、100円ショップで買った女性の眉の手入れ用ハサミで短くしました。

次は、下草ですが、スタティックグラスという3〜5ミリくらいの細かい繊維に、さきほどの麻ヒモの切りくずを混ぜたものを撒いていきます。
下草を加えたい部分に水でやわらかくした木工用ボンドを塗り、そこに上からパラパラと撒きます。
うまく撒けない部分(先に植えた麻ヒモの周囲など)は、ピンセットで置いていきます。

ボンドが乾いたら、ベースを傾けてポンポンとたたき、固着しなかった草を払い落とします。

7 外枠の製作

100円ショップの木材をサイズに合わせてカットして、同じく100円ショップの両面テープで貼り付けました。

両面テープなので硬化をまつことなく、形を作ったらニスを塗ります。

8 地面の塗装@

今回は雪解けの湿った地面を再現しているので、水たまりと乾いた地面の両方を再現します。

【第1段階】土色の塗装
明暗2種類のピグメントを使い、溝部分には暗い色を、平らな部分には明るい色を、筆や綿棒でこすりつけて地面の色をつけました。

【第2段階】湿った部分の塗装
少し低くなって、水分を多く含んで泥状になった部分を再現します。
これには、タミヤアクリルのスモークを塗って、湿った色にしました。

さらにその上からグロスメディウムを水で溶いたものをの塗ってツヤを出しましたが、溝の深い部分にはメディウムを濃くしてつやを強めに、浅い部分には水で多めに薄めてつやを弱くし、湿り気の差を表現してみました。

9 地面の塗装A

【第3段階】水たまりの再現
透明レジンを流し込む方法が一般的ですが、今回は手元にある材料ということで、グロスメディウムにアクリル絵の具を混ぜて再現しました。

10 地面の塗装B

【第4段階】泥の修正
水たまりの周囲をぐちゃぐちゃな感じにするため、レジンサンドとピグメント、アクリルスモークを混ぜてペースト状にしたものを、爪楊枝で水たまりの横に土手になるような感じに少しずつ盛り付けました。

また、この泥を車両と地面の隙間や車輪にも着けますが、せっかく作ったディティールが埋まらないように注意しながら追加していきます。
拡大画像でわかるとおり、下草に使ったスタティックグラスを混ぜ込んで盛り付けています。

11 小物の追加

以前購入してあったレジン製のドラム缶ストーブをそのまま使いました。

まず普通に塗装したあと、Mrウエザリングカラーのラストオレンジを全体に塗り、生乾き状態で綿棒でふき取って、錆たドラム缶を再現しました。これはとてもお手軽ですね。

その後、白やグレーのパステルを地面にまぶして、燃え残った灰を再現しました。

12 落ち葉と残雪

@シルフロー(情景素材メーカー)の葉っぱのシートから、1まいづつピンセットではがし、マットメディウムを使って葉を地面に貼り付けました。

 

Aさらに、鉄道模型用の雪(大理石の粉)をマットメディウムで追加しました。
 道端の雪は上からグロスメディウムを塗って、春先の泥まじりの凍った雪を再現しました。

 

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