シュビムワーゲン製作記 その3

一度、がっちり作り込んでみたかった車両ですが、いよいよ完成です。いや〜満足です。

1 車体前部の追加パーツ@

フロントガードは0.3ミリ真鍮線でリセット。
ご覧のようにキットパーツよりも繊細な感じがでます。

ノテックライトはローデンの8輪装甲車から。
ワイパーは手元にあったエッチングパーツを流用
ボンネット上のフロントウインドを畳んだときの固定金具もいいアクセントになるので忘れずに再現しました。

フロントウインドはタミヤの透明プラ板を、0.5ミリ角材で囲むように接着してフレームを製作し、最後に角をカットして整えました。
また、透明プラ板の断面には事前に黒を塗っておくことで、フレームの色が透けてみえないようにしました。

2 車体前部の追加パーツA

遮光カバー付きのヘッドライトはいい形のものがなかったので、アカデミーのキューベルワーゲンのヘッドライトを流用し、カバーをプラ板で自作しました。
ピンバイスでプラ板に穴を開けるのではなく、0.5ミリ厚のプラ板に隙間ができるように接着して1枚の板を作り、丸くカットしてカバーを作ってみました。

3 車体後部の追加パーツ@

車体後部の排気管もボンヤリした出来だったので、プラ板でリセットしました。
上部につくスクリュー操作用の棒は、伸ばしランナーで作りました。(完成画像をご覧ください。)

また、72ではあまり再現されない幌の金具類も忘れず追加して精密感を出しました。

4 車体後部の追加パーツA

後部のスクリューは見せ場の一つなので、がっちり作り込んで解像度を上げました。

アカデミーのキットには、格納状態と展開状態の2種類のスクリューが入っているので、羽根部分は展開状態のパーツから切り出して、薄く加工して流用しました。

この部分を作れただけで、今回の製作は十分満足です。

5 パーツの自作方法

スクリュー部の自作ですが、このようなパーツを自作するときは…
・サイズがわからないときはキットパーツに準拠する
・周囲のパーツからの位置関係から推測する
・コアになる部分を作り、その周囲に順番にパーツを追加していく
という手順で作業を進めます。

今回の場合は、まず車体に台座を作ったあと、スクリューの下の部分を作り、その上に画像の番号順にパーツをどんどん追加していきました。
全体が歪まないように、1つを追加したら接着剤が硬化するまで1日待ちます。

形が複雑だと二の足を踏んでしまいますが、パーツに分解して考えると、それぞれはシンプルな形なので自作できます。

6 ナンバープレートの考察

今回は親衛隊所属の車両なので、ナンバープレートには「SS」の表記が必要です。

しかし、ドイツではみだりにナチスに関連するマークなどを一般の目に触れさせない法律があるため、ドラゴンなどのメーカーでもこれに配慮してルーン文字の「SS」のデカールはなく、上下に分割されたパーツを組み合わせることで、モデラーが「自主的に対応する形」になっています。

模型を純粋に楽しむというこのホームページの趣旨から、このような処置についての是非は議論しません。 ただ、インターネットで海外への紹介をしている以上、現在の枠組みに沿った対応が必要であると考え、今回は「SS」の文字は再現するものの、このあとの汚し工程によって直接的表現とならないようにしました。

使用したのは、ドラゴンのsd.kfz251cのデカールで、白い台紙に1文字づつ並べて貼る方式のものです。(老眼いじめですね。)

7 墨入れとハゲチョロ

いつものように油彩で墨入れをして、1日乾燥させてから溶剤を含ませた筆で撫でるように余分な塗料をふき取って凹部だけに墨が残るようにしました。
油彩は線がはっきりしていてラインが締まるのでいいですね。

油彩での墨入れは「How to〜」のこちらから

その後、タイヤブラックでハゲチョロを描きました。
車体の下周りはオフロードカーらしく、地面との接触によるサビを多めに加えています。
さびの滲みはクレオスのウエザリングカラーを使ってみました。

8 足回りの泥汚れ再現

【第1段階】
 ファレホのピグメント「ナチュラルアンバー(土色)」をアクリル溶剤で溶いて、車体の下半分に塗りました。
【第2段階】
 ファレホのピグメント「ダークスレートグレー(黒色)」にタミヤアクリルのスモークを加えて、底面に近い部分や凹部に塗りました。
(スモークを加えると、乾燥するとテカリがなくなって湿った感じが再現できます。)

1/35のように全体に塗ってから部分的に落とすような手法だと、せっかくの繊細なディティールが埋まってしまうので、穂先で1〜2ミリ程度の面積で調子をみながら少しづつ面積を広げながら塗っていくとうまくいきます。

9 完成

フロントウインド上の両端には幌を固定するピンを再現しました。
このあたりは72スケールではあまり見ませんよね。
また、助手席側には素晴らしいモールドのプライザーのMG42をつけました。

ボンネットに載っている予備タイヤは、太いタイヤのトレッドパターンを上手に再現できないので、キャンバスのカバーをかけてごまかします。
元のタイヤにプラ板を貼って厚みを増してからエポパテでカバーを作りました。

タイヤはあまり派手に汚すとせっかくのモールドが埋まってしまうので、多くならないように注意して泥を塗りました。

   
・車体側面のスコップはドラゴンのsdkfz251のパーツの柄を短く切り詰めて流用
・オール(櫂)はキットパーツを薄くして、木目は塗料で描きました。
・装備品を車体に固定するクランプはPartのエッチングパーツを使用
・車両の諸元表はアカデミーのキューベルワーゲンのものですが、あまりシャープでなく残念です。
・窓の汚れはMrウエザリングカラーのサンディウオッシュを全体に塗り、乾きかけたところで綿棒で中央部をふき取りました。
 エアブラシを持っていない私は、このような方法で窓の汚れを再現しています。
・後部ナンバープレートはプラ板で自作
・尾灯はちょっと大きいものの形状が似ているドラゴンのシャーマンのパーツを使い、作業を簡略化しました。
   

 

製作記目次にもどる