Flak37 ベースの製作 その2

1 建物前の瓦礫@ 

ベースにガレキを撒くため、材料を用意します。
着色した石膏を砕いたりして材料を用意する方法もありますが、素材が軽いほうが後で取れにくいので、コルクをほぐしたものと、軽量紙粘土をハサミで四角にカットしたものを用意しました。(軽量紙粘土のブロックは電車の中に詰めたものと同じです。)

2 建物前の瓦礫A

@ カットしたスタイロフォームを両面テープでベースに貼り付け
A タミヤのエポパテを厚さ2ミリ程度に盛りつけ
B 紙粘土を四角にカットしたものや、コルクを小割にしたものなどをパテに押し付けて固定。
 ※8.8cm砲の設置場所にマスキングテープを貼って、コルクなどがはみ出ないように注意しながら作業しました。

3 建物前の瓦礫B

@ パテが柔らかいうちに、残りの部分にコルク粉をまぶしたところ
A エポパテ硬化後に全体を黒で塗装
B グレーや茶色で塗り分け

建物が崩れてきてさまざまな建築材料が堆積している状態を再現しました。
また、プラ板で作った扉を置いたものの、どうもしっくりこなかったので、最終的に波状のクラフト紙で作った錆びたトタン板と差し替えました。(トタン板作成の説明はこちら

4 弾薬箱の製作

いつもの場合だと、主役となる車両をベースに据えると満足してしまい、周囲の情景は時間をかけずにチャチャッと簡単にすませてしまいがちです。 しかし今回は現場の混乱した状況を再現するため、ベースにも車両と同じように時間をかけて、小物を沢山投入します。

まずは8.8cm砲の弾薬箱です。

今回は再現度の高いRBモデルの金属製砲弾を用意したので、これに合わせて0.3ミリプラ板で自作しました。

5 地面の瓦礫@

地面に8.8cm砲の砲座を固定したら、その周囲にも瓦礫を撒いていきます。
まわりがきれいな石畳だったら違和感がありますからね。

建物のそばには大きなブロックを積み上げましたが、砲座は建物から離れているので、小さめの瓦礫を使いました。
瓦礫はコルクの粉で、部分的に石畳が見えるように撒きました。

固定には、水溶きした木工用ボンドを1センチくらい上から静かにたらします。
これ以上高い位置からだと水滴の勢いで瓦礫が飛んでずれてしまいます。
また、これより低い位置からだと、水滴がうまく広がりません。
水滴が表面張力で瓦礫を引き寄せて「ダマ」にならないように、洗剤を1滴たらして界面効果をなくしてあるので、この高さだとちょうど水滴が落ちた衝撃で割れてきれいに広がります。

1日しっかり乾燥させ、ベースを横にしてトントンと軽く叩いて接着されなかったコルクを落とします。(ほとんど固定されます。)

砲座と弾薬箱を固定して、瓦礫を少し加えた状態
まだまだシンプルですね。ここから様子をみながら瓦礫を追加していきます。

6 地面の瓦礫A

上記の状態では、パーツがただ地面に置いてあるだけなので、次のステップでは、情景に変化をつけるため、瓦礫を追加していきます。
今度は大きさがバラバラな、ドリップ後のコーヒーガラを乾燥させたものを使いました。

バランスを見ながら、タミヤの調色スティックで少しづつ追加していきます。決してザーッと適当に撒いてはいけません。
ここで雑な仕事をしてしまうと、今までの積み重ねがだいなしになってしまいます。

このあと、水溶き木工用ボンドをスポイトで垂らしますが、追加した部分以外にかからないように、狙いをすまして1滴だけピンポイント爆撃します。

また、レンガも全体のバランスを見ながらピンセットで1ケづつ置いていきます。
レンガはセラミックの粉を接着剤で固めた製品を使いました。

レンガは鉄道模型用でもいろいろ販売されていますが、今回はドイツの Juweela社製(大量のタイヤや石炭などもあります。 )を使いました。

7 車両上の瓦礫

電車の屋根の上にも瓦礫を載せます。
せっかくの電車のディティールが埋まってしまわないように、配置場所をよく考えながら木工用ボンドをつけた瓦礫パーツをピンセットで丁寧に置いていきます。

地面の全景はこんな感じです。
上記5のあとの画像と比べると、かなり情報量が増えました。
ここから、追加した各パーツを紹介します。 

8 小物の追加@

● RB Models「Ammo for Flak18/36」

  金属製の薬莢と弾頭が別パーツで、弾頭は榴弾、徹甲弾、HEAT弾があり、形状の違いも再現されています。
  また、薬莢の首のところにあるリブもしっかり再現されている優れものです。
  今回は、何本かの薬莢を鉄製薬莢とするため、銀で塗装しました。

9 小物の追加A

● FPW Models 「200L oil drums」

  レジン製で、ドイツ軍ドラム缶の特徴である天面の刻印が再現されています。
  給油ポンプはプラ板で自作したものです。

● JS' Shape Works 「fuel can 20L」

  3Dプリンターで作られていて、側面の刻印が再現されています。
  やや表面仕上げが荒いですが、国防軍、SSなど形状違いのものが4種類8ケづつまとまって造形されています。

10 小物の追加B

情景の手前には、武装解除されたドイツ軍の武器を積みました。

ヘルメットは何色かで塗り分け、内側のライナーはエポパテで作りました。

ライフルは手持ちのキットからかき集めましたが、メーカーによって形がまちまちなので、形の正確なものを上に積みました。
また、ストックは茶色は何種類かで塗り分け、積み上げたときに変化が出るようにしました。

11 小物の追加C

・パンツアーシュレックはプラ棒で自作しましたが、1ミリくらい長かったようです。

・手りゅう弾は、プライザーのアクセサリを改造して先端に信管がついたタイプを再現しました。

・パンツアーファウストはMARS社のレジン製。側面の注意書きのデカールが欲しいですね。

12 小物の追加D

クマのぬいぐるみはシュタイフ社の戦前のテディベアを参考にエポパテで自作
左耳にはブランドを示すタグをつけました。 左腕はとれた状態です。

プラ板で作った革製旅行カバンを、右側には男性用の革靴を置きました。

13 パステル

パステルはチョークのようなハードタイプと、クレヨンのようなオイルタイプがあります。
粗めの紙ヤスリで削って粉末にして使うのは、ハードタイプのほうが適していると思います。
私は100円ショップで買った原色6色セットを調色して、土系の色を何色か作り置きしています。

左の画像は、ベースの下半分にパステルを施した状態です。
ベースの上半分を見るとわかるように、パステルがついていない状態だと、全てのパーツの解像度が同じなので、主役が埋没しています。
しかし、ベース全体にパステルを施すことで、パステルのついていない部分は解像度がそのままなので、見てもらいたい主役部分に視線を誘導することができます。

この段階ではパステルが多めについているので、今度は水をつけた筆や綿棒で、余計なパステルを除去して、
 @ パステルで埋もれてしまっていい部分
 A ツヤが消えてトーンが抑えられる部分
 B もとの塗装のままの部分
と、各部分ごとにパステルの量を変えて、情景全体の解像度(ピント)の微調整をしていきます。

● 完成

今回は、終戦直後のベルリンを再現しましたが、あえてフィギュアを配置しませんでした。
この状況はストーリーが重すぎて、意味を持ったフィギュアの製作がためらわれたためです。
そこで、ベース左端に一部が焦げて壊れたテディベアを置き、また、旅行カバンと革靴を使って、暗喩的に状況の説明をしてみました。

また、いつもなら、メインの車両が完成したらベースにはザーッと瓦礫を撒いて、いくつかのアクセサリーをポンポンと置いて簡単な作業でおしまいでした。
しかし、ハイレベルのモデラーさんの本を読むと、レンガを1ケ1ケピンセットで固定するなど細部まで気を使っています。
今回は私もそういう心構えで作業をしてきましたが、丁寧な作業の積み重ねが結果に反映されるんだなあと改めて実感しています。

何年も模型を作ってきて今更の話ですが、やはり最後まで手を抜かずに作りづつけるというのが大事なんですね。

【今回の作業期間】
・Flak37 2016.08.08〜2016.10.30
・ベルリン市電 2016.11.02〜2017.01.02
・建物などベース 2017.01.03〜2017.04.15  

完成後の写真はギャラリーで

 

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